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TALK WITH vol.7

人が暮らす最小単位の社会であり、家族の“巣”でもある住まい。TALK WITHでは、そんな心地よい住まいの先に広がる、よりよい暮らしに向かって走り続けるウェルネストグループの銘々が対談を行い、最良の未来へと繋ぐヒントを見つけていきます。
第7回となる今回は、ウェルネストホーム創業者の早田宏徳と会長の芝山さゆり、社長の中谷哲郎による鼎談です。日本の家づくりはどうあるべきなのか。なぜ理想の家がつくれるのに、つくられていないのか。2012年に前身の低燃費住宅を創業して以来、「よい家をつくる」ことを使命としたウェルネストホーム、まちづくりや開発事業に踏み込むウェルネストR&Dと、3人は妥協なき事業に邁進してきました。
出会いやドイツを振り返った前編につづき、後編では会社の現状や今後について語り合います。巻き込み力に長けた、0から1を生み出せる会社として。

嘘なき会社の巻き込み力

早田:
ずっと同じことをやっているにせよ、創業からの9年は本当にいろいろなことがありましたね。東日本大震災、支店拡大期、コロナ禍。5、6年に1回くらいの周期で、大変な時期を乗り越えてきたように思います。

芝山:でも、そういうときこそ……人の本質が出ると感じます。昔、法人口座とは思えないほどに預金残高が目減りしていたときでさえ、早田さんは笑っていましたよね。目先の利益のために会社をやっていたら、そうはいきません。持続可能な社会、子どもたちのことを真剣に考えている人だから、私は一心不乱についていこうって思えたような気がします。

早田:
僕らって運はよいですよね。なにが幸運かって、とにかく人に恵まれていること。いつもドイツを案内してくれる環境ジャーナリストの村上敦さんとか、ニセコミライのご縁をくれた前ニセコ町長の片山健也さんとか。ほかにも挙げきれないほどいて、そういう方々への感謝を忘れてはいけません。

芝山:
運を呼び寄せるためにできていることがあるとしたら、たくさんの人と語り合うことではないでしょうか。理念とか、理想とか。この3人は本当に多くの人と出会い、語り、その先へ広げていると思います。

早田:
巻き込み力は、いまのウェルネストホームの強みに違いないですね。お客さまや関わってくださる関係者。こんな小さい会社なのに、応援してくださる方々が業界の枠を超えてたくさんいます。

中谷:
小さい会社が14年続いて、創業時のメンバーの多くがいまも活躍してくれているのは奇跡ですよ。当時の社員の9割くらいがいるんじゃないですか?

芝山:
彼らこそ、会社の財産ですよ。

中谷:
もはや家族みたいな感覚があります。家族って一生いっしょにいるもので、辞めるとか、辞めないとか、そもそも考えませんよね? 仲が良いし、ただの社長と従業員ではなく、そういう関係性でいられることも強みのように思います。

早田:
苦しいことがあってもついてきてくれる社員がいるのは、本当に尊いこと。僕らの会社は、明らかに理念共有型ですよね。「よい家」をつくる使命をとことん追求する会社。もちろん課題はあるにせよ、お客さまに後ろめたいような家づくりは絶対にしていませんから。

中谷:
商売って、表と裏で言っていることが違う場面が多々あります。過剰に利益を追求してしまうケースもあるでしょう。そういう嘘がいっさいない会社でありたいですよね。

まちづくりで 再び0から1を

中谷:
これからは変革期であるような気がしています。会社としてよいメンバーに恵まれていますから。社員の年齢層が変わってきて、30代が10人、20代は11人もいます。

早田:
数年前には若い世代が2、3人しかいませんでしたよね。僕らが30代で創業して、みんなそのまま年齢を重ねてきたので。

中谷:
若さがこれからのウェルネストホームの武器になっていくような気がします。僕らが第一世代としたら、理念を受け継いでくれる人たちが第2世代、第3世代と育っていますから。こういう世代交代ができる工務店って、中小規模では少ないのではないでしょうか。

早田:
芝山さんが我が子のように育ててきた会社だから、受け継いでいってもらわないと困ります。いま会社があるのは、上場しようかという話が挙がったとき、芝山さんが断固反対してくれたおかげですよ。

中谷:
よく覚えています。「子どもを売り渡すようなことは絶対にできない」と芝山さんが断言していたのを。

芝山:
苦労しながら育ててきた会社って、子どもみたいな存在なんですよね。株主が入るということは、利益を求められることでもあり、子どもを売るようなものに思えたんです。

早田:
頼もしいメンバーにウェルネストホームの意思決定を任せられるようになり、設立したのがウェルネストR&Dです。僕らは今一度、イノベーターに立ち返らなければいけません。0から1を生み出せる強みを再び発揮すべく、2023年に第二創業としてスタートしました。

芝山:
ひどい話ですよ(笑)。社長を中谷さんに譲らせてもらって、やっと楽になれると思っていたら、早田さんが「また俺と新しい会社をやろう」なんて言うのですから。

早田:
世の中にない賃貸住宅を建てたり、ヴィラやコンドミニアムを展開したり、街をつくったり。需要に応えるのではなく、僕がほしいものをつくって、共感してくれる人に届けていく。そういうことを、中谷さんも含めて少ない人数でやっていきたいんですよね。

芝山:
この構想を聞いたとき、私は最初にドイツへ行ったときのことを思い出しました。帰りの飛行機で聞いた、「街をつくりたい」っていう早田さんの言葉。あの瞬間から決まっていた未来というか、ついにそういうフェーズが来たのかと感慨深かったです。

中谷:
ドイツで思ったこと、気づいたことが僕らの根底にありますからね。質実剛健な本物の家。健康かつ快適に暮らせて、2代3代にわたって住みつづけられる家。そういうものが並ぶような、よい街をつくっていきたいですね。

早田:
あとは人。よい街は、よい家とともに、よい人がいないと成立しません。ニセコミライをやっていて、つくづく思います。コミュニティって言葉にするのは簡単でも、そこにはどれだけ地道な人と人との交わりが必要なのかと。

芝山:
家族っていちばん小さなユニットですからね。私はニセコミライに視察会で何百人とお連れしましたが、みなさんが気に入ってくださります。「こういう街が、日本のあちらこちらにできたらいいのに」と。街をつくっていくのは難しくても、きっかけをつくれたのはたしかなことで、ウェルネストホームとして大きいように思います。

早田:
会社も同じかもしれません。よい会社には、よい人がいるもの。せっかくよい人がいるんだから、これからは僕ら以外の社員が中心になっていかないと。そう思っていたから、創業メンバーの京谷くんに8月から執行役員を任せることにしました。

芝山:
その話を聞いたとき、私は感動しました。いっしょに苦労を乗り越えてきた京谷くんに、早田さんが託してくれたことがうれしかったんです。

中谷:
本当の意味で世代交代していこうってことですよね。

早田:
京谷くんは創業からいっしょだし、僕らの理念をだれよりもわかってくれています。人を裏切ることがないから、彼のまわりには人が集まっていくでしょう。舵取りは次の世代に任せて、僕らはまた0から1を生み出していきましょうね。

中谷:
フェーズが変わってきたんでしょうね。戸建住宅からスタートして集合住宅、ヴィラやコンドミニアム、そして街へ。「WELL」「WELLNESS」「NEST」を掛け合わせたウェルネストという僕らの概念が広がっているような気がします。若い子たちの発想力や行動力を借りながら、これからウェルネストな食を提供していくかもしれないし、ウェルネストな衣類を出すかもしれません。僕らはたまたまスタートが住宅だっただけという感覚があります。

芝山:
私たちの目指すウェルネストな社会には、衣食住どれもが選択肢になりえますからね。

中谷:
僕らはずっと同じことを言っているかもしれませんが、世の中にはまだまだ広がる余地がありますし、可能性を大いに感じているんですよね。

早田:
もう前身の会社から14年、僕個人の場合は30年くらい、同じことを言いつづけている。持続可能な社会、未来の子どもたちのための社会。でも、社会ってそう簡単には変わらない。そこであきらめるのではなく、家以外のことに踏み込んでいくために必要だったのがR&D。だからふたりとも、これからもよろしくお願いします。